「適正な人員配置」とは?|企業競争力向上・収益向上

最適な配置・配属による企業競争力向上・収益向上は,優秀人財の争奪戦が増す中,ますます企業の重要課題となっています。同時に,日本の労働市場の流動性は欧米諸国よりはまだまだ低いものの,以前と比べるとキャリアアップのための転職も当たり前になり,優秀人財,StarPerformer候補が自らの仕事のやりがいを求め,働く環境を変えていく昨今,この優秀人財のリテンションも企業の重要課題の一つとなっています。

配置・配属ミスによる企業の損失は,真のビジネスリーダーではない社員をリーダーに置いた場合,優秀な社員の離職,それによる現場の混乱,生産性の低下,顧客流出,職場活力の低下,人員増による採用コスト増等,挙げれば切りがない程,企業が被る損失は多大なものになります。

ビジネスパーソン4つのタイプ
まず企業の成長になくてはならない最優秀人財。この人財は,海(市場)でもプール(社内)でもダントツの成果を上げるトップクラスの人財,StarPerformerです。
この人財の特徴は,「経営視点で顧客と話ができる」「本質を見抜くことができる」「原理原則型である」「独創性が豊かである」「直観的に事象を判断できる」ことです。貴社にも社内外に影響力を持つこのタイプの人財が少なからずいるのではないでしょうか?このタイプを一匹狼にするか,ビジネスリーダーとして起用するかでは,企業の生産性に大きく差が出てきます。このタイプを生かせない会社は変革がおぼつかず,今後の競争力が低下していく可能性が高い会社です。

上記のような最優秀人財ではないが,猪突猛進の馬車馬タイプの人財。このタイプの特徴は,「ルールや規律の中で勝負するのが得意である」「改善案は得意だが,改革案は苦手である」「有能なため何でも自分でやってしまう,他人への権限委譲があまりできない」「明確な目標とインセンティブを与えられないと走らない」「残業が多い」「スピードは出せるが方向性が後回しになる」ことです。自己責任が強くやる気に満ち溢れています。スピードを持って走らせる能力が非常に高い特性を生かし,正しい方向性,戦術が見えるときに限って会社にとって有効に機能します。しかし,残念ながら,上記の最優秀人財と違い,真のビジネスリーダーにはなれません。

次に,アウトプットは全然出ていないのに行動量が少なく,企業にい続ける図太い神経のタイプです。このタイプを一言で云うと評論家。「頭でできているつもりだが,実力が伴わないことが多い」「抽象論に終始するコンサルタントタイプ」「自分の関心事にしか興味を示さない」「文句,愚痴が多く,理屈っぽい」「プライベートのことを一番に考える」といった特徴があります。ビジネスセンスの高さはある程度あることから,現実には実績および経験のある上記2タイプから,何らかの理由でやる気をなくし,ポテンシャルが下がったと考えられます。

最後は,まさにビジネス音痴タイプ。「つまらない事,くだらない事に時間をかける」「簡単な仕事が満足にこなせない」「トラブルメーカー」「忙しいのが自慢,忙しさを常にアピール,残業が異常に多い」「言い訳ばかり言い,責任感がなく,すべて他責」「肝心なところが抜けている」「空気が読めない」。このタイプは,一見,一生懸命なように見えますが,往々にして間違った方向やズレた方向に走ることが多く,その結果,人,物,金,時間といった貴重なリソースを食いつぶしたり,最悪の場合,企業のブランド,製品,サービス,イメージを悪くすることもあります。

ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)のプロダクト・ポートフォリオ・マネジメント(PPM)で考えると,上記の最優秀人財,猪突猛進タイプの人財の最適な配置・配属は,「スター」(市場の成長性が高い×自社の強みが高い)のビジネスに最優秀人財(または最優秀人財をリーダーとするチーム)を配置することで,事業を確実に収益の柱に育て上げる可能性が高まります。また,「スター」として定義された市場だけでなく,関連するマーケットにも展開し,想定以上のビジネスインパクトをもたらすことも期待できます。
「金のなる木」(市場の成長性が低い×自社の強みが高い)には,猪突猛進タイプの人財を配置することで,安定的な収益を稼ぎ出すことができます。最優秀人財を配置しても,期待する成果をあげますが,猪突猛進タイプの人財の場合とそれほど成果に差が出ないとも考えられるため貴重な最優秀人財の無駄遣いにもつながります。
「問題児」(市場の成長性が高い×自社の強みが弱い)事業に投資する意思決定をした場合,最優秀人事が最適です。スターの事業に育つ可能性を十分に期待できます。逆に最優秀人財がいない場合は,当該事業からは撤退する判断をすべきです。
「負け犬」(市場の成長性が低い×自社の強みが低い)は撤退事業ですが,仮にこの事業に最優秀人財を配置してしまった場合,折角のStarPerformer候補もやる気を失い,離職の道をとると思われます。赤字事業を継続する以上に,優秀人財の流出という大きな痛手を負うことになります。

4タイプの最適な配置・配属 活用の仕方
最優秀人財の活用上のポイントは,新規事業創造向,急成長マーケット向,現場側から経営側に,権限委譲する,人・物・金のサポートをつける,環境・状態の良いところに配置することです。
猪突猛進タイプの人財は,新規ビジネスプロジェクトのトップやリーダーに抜てきしない事,このタイプに下に決して最優秀人財を配属させない事,管理能力が高い変革型リーダーには向かない,目に見える仕事・すぐに出る結果に対して短気サイクルで数をこなす事に集中させる,既存顧客の守りや拡大・見えている市場・顧客開拓に集中させることが重要になります。
評論家タイプの人材は,人生やビジネスに対する潜在意識が変革されない限りこのタイプは変わらないことから,時間をかけず放っておくのが良い。期待はさせるが,育成にはコストがかかってしまうのでリソース配分には充分注意する必要があります。頭が良い人もこのタイプには多いので,他のコンピテンシーや動機と個人の嗜好がマッチすれば特定の分野で成果を出せる可能性はあります。
ビジネス音痴タイプは,特に大切なポジションや顧客接点から外す。仕事の自由度を与えないことが重要です。

最優秀人財の維持
企業競争力向上・収益向上の観点から,最適な配置・配属を述べてきましたが,同時に,最優秀人財,StarPerformer候補のリテンションも実現することが当社のソリューションで可能です。最優秀人財の維持は,War for Talentの視点から現在の人事戦略において極めて重要視されているテーマです。では、なぜ最適な配置・配属が優秀人財維持に有効なのでしょうか?

マッキンゼー・アンド・カンパニーは,2000年に,入社する際,また留まることを決意した際の決め手となった要因について,社内調査を実施しました*1。その結果を見ると,最高の支持を集めた要因は「困難だが面白い仕事」という「やりがいのある仕事」という大分類に含まれるもので,59%という圧倒的な支持がありました。また,この要因と全体としての会社に対する満足度との相関には強い因果関係があったと報告されています。同様の調査は,世界最大のコンサルティング会社アクセンチュアでも,従業員が企業に求める組織環境調査として,継続的に実施されています*2。「社員を鼓舞するリーダー」「面白い仕事」「柔軟なワークスタイル」「多様な人材とのコラボレーション」「競争力ある報酬」「学習の機会」の6つの観点で調査しています。その結果,調査開始以来,常に「面白い仕事」が最大の支持を集める結果となっています。コンサルティング会社は,従業員そのものが商品であるため,人事については何よりも熱心に取り組んでいる会社と言えます。また,その商品の対価として顧客に高額のフィーを要求する以上,一般に優秀人財が多い組織でもあります。優秀人財を維持するためには,彼らに面白くやりがいのある仕事を与え続け,光り輝く場面を提供することが何よりも重要なのです。そのためには,職位だけでなく担当する事業分野・マーケットも含めた適材適所を図ることが必要です。
*1: McKinsey & Company. War For Talent 2000 Survey.
*2: Accenture. Japan People Satisfaction Survey 2001 Spring.

今日のように,企業間の競争は一段と激しさを増し,人財難は当分続くと見られます。その結果,優秀な人財を採用することの「難易度」が高くなり,優秀な人財は、ますます売り手市場になってきています。だからこそ,自社にとって大切な人財の流出を防ぐ人事マネジメントが経営戦略上、極めて大きな課題となります。優秀人財の採用から定着,適正な配置配属へとまさに人事の重要なテーマが移ってきているのです。

当社は独自理論を背景に,組織力強化戦略やコンサルティングを事業として,先行きの見えないこの時代に,「企画力」を持ち合わせた「実行力」に秀でた人財,ビジネスの感性が高い真のビジネスリーダー=StarPerformer候補を早期に発掘し,企業の競争力強化,そして,経営革新に繋がる改革を行って参りました。当社は人財が活躍し,持続的に成長できる企業作りに最適なソリューションをご提供致します。

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