新型コロナウイルス感染拡大の影響で広がる企業の採用活動の変化と内包リスク

この度の新型コロナウイルス感染症に罹患された方とご家族・関係者の皆様に謹んでお見舞い申し上げます。また、医療機関や行政機関の方々など、感染拡大防止に日々ご尽力されている皆様に深く感謝申し上げます。

今年に入って甚大な影響を与えてきた新型コロナウイルス の感染拡大も、日本政府は14日、47都道府県のうち39県で新型コロナウイルス対策の緊急事態宣言を解除するなど、まだまだ予断を許さないものの、ようやく明るい兆しを見せ始めています。

【参考】日本の緊急事態宣言、39県で解除  「新しい日常」へ向かうか

企業採用活動に迫る新型コロナの影
一方で企業の採用活動は、3月に入り本格化した新卒採用活動が、新型コロナウイルス流行の影響による就職サイト主催の大型イベントで中止が相次ぐなど大きな問題となっています。また、それによる企業側の対策として、会社説明会や面接のオンライン化などを導入するなどの活動が活発化しています。

【参考】コロナ禍で採用活動に変化、企業の86%でオンライン面接を実施–米Gartner調べ

【参考】新型コロナで急増 オンライン採用で成功する5つの鉄則

今回はコロナ禍を乗り越えるために、企業各社で活発に導入が進められている企業採用活動のオンライン化とはどのようなものか、またそのメリットとデメリットを解説したいと思います。

オンライン面接とは

企業が採用の際に、PC(パソコン)やスマートフォンなどを使ってオンラインで行う面接を総称でオンライン面接と言います。
これ活用することよって企業の採用担当は、時間や場所に縛られることなく面接が可能になります。前にも触れましたが、近年活発化してきたオンライン面接は、コロナの影響により採用する企業が爆発的に増加しており、一次面接はオンライン面接、最終面接のみ直接面接というように使いわけるケースも多くみられるようになりました。

オンライン面接で必要なツールは?
注目度が非常に高まっているオンライン面接を導入するには、いくつかのツールを用意する必要があります。

1.ビデオ通話ができるシステム

まずは、ビデオ通話ができるシステムが必要です。PC(パソコン)、スマートフォン、タブレットなどの端末にソフトウェアやアプリをインストール、またはブラウザからシステムにアクセスして利用する場合の大きく2つの手法があります。

2.インターネット環境

ビデオ通話システムには、インターネット環境が必須です。また通信状態が不安定だと、映像や音声が乱れたり、通信が途中で切れたりといったトラブルが発生しやすくなり、面接などの場合は機会損失にもつながるので注意が必要です。

3.カメラ、マイク

ビデオ通話にはカメラとマイクが別途必要になります。内蔵されているカメラやマイクでも会話をすることはできますが、よりリアルに応募者の顔や声をよく確認し、円滑なコミュニケーションを行うためにはある程度の機材を揃えることがおすすめです。

オンライン面接のメリット
1.時間と費用を削減できる

従来の対面面接では、企業側は面接会場を準備し、面接官のスケジュールを確保、応募者は面接地へ移動するまでの時間や費用、場合によっては宿泊費などが必要なのに対して、オンライン面接では、これらの時間や費用を大幅に削減できます。

2.マッチング機会を増やせる

時間と費用を削減できるオンライン面接では、効率性が飛躍的に高まるため、結果的に多くの面接機会を創出できます。また、候補者と面接を複数回行うことも容易になり、お互いをより理解することで採用のミスマッチの防止にもつながります。

3.採用の間口を拡大できる

時間や場所に縛られないオンライン面接は、自社から遠く離れた地方に住む応募者はもちろん、海外在住の応募者であっても気軽に面接が可能になります。

4.面接の動画を共有できる

多くのオンライン面接システムには、面接を録画できる機能があります。この機能を利用して録画することで、後からの検討、参加できなかった面接官や責任者との共有が可能になります。
さまざまなメリットを持つオンライン面接ですが、デメリットもいくつかあります。

オンライン面接のデメリット
1.ミスコミュニケーションのリスク

デジタルデバイスを介してのオンライン面接では、相手の反応や表情などがつかみにくいという欠点があります。現時点では、直接顔を合わせる対面面接にアドバンテージがあるということになります。

2.通信トラブルの可能性

回線自体が不具合やネットワーク機器のトラブル、誤操作など、日頃から注意をしてもすべてのトラブルを未然に防ぐことは困難です。優秀な人材との貴重なコンタクトの機会を損失するリスクの可能性は考慮するべきです。

最大の課題は「質」の担保

コロナの影響は、否応なしに世界規模で企業の業績悪化を招き、国内外のマーケットは未曾有の危機に瀕しています。私たちを取り巻く環境は急速なスピードで変化してきており、企業の大小に関わらず、その変化に対応できない組織は、最悪の場合市場からの「退場」を迫られる。
急速に広がりつつあるオンライン面接というシステムは、時間と場所を制約されない大きな効率性をもたらす反面、人材採用の形骸化を招くという大きなリスクを内包していることを忘れてはいけません。

変革の時代に対応できる人材が求められる

企業の「採用」という一つの活動を切り取っても、デジタル技術を活用したオンライン面接へのチェンジの波など大きな変化が起こっています。これは、企業を取り巻く全ての環境が大きく、しかも想像もできないスピードで変化している兆しでもあります。
大きく変化するマーケットの中で、如何に環境変化に対応する強い組織に、生まれ変わることができるか、その大きなクエスチョンをすべての企業は突きつけられているのです。それを乗り切るための答えの一つが、その組織の強い核となる人材の獲得と言えると思います。

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